Top Image via Zaha Hadid Architects
先日は夜行便がスタートし、香港・深センから中国各都市へ一段とアクセスしやすくなった高速鉄道「広深港高速鉄路」。その終着点となる西九龍駅では現在、香港最大の複合商業モールを建設中です。
公共施設・オフィス・商業スペースと駅が一体化する複合施設で、現在の総事業費は90億米ドル。2027年に完成予定となります。
西九龍駅商業モール建設プロジェクト概要
当プロジェクトは英語で、”XRL(Express-Rail-Link) Topside Development”と呼ばれ、高速鉄道「広深港高速鉄路」西九龍駅の上部で建設が進められています。開発面積は29.7万平方メートルで、完成後は屋上公園や文化施設、またオフィスや店舗スペースが一体となる複合施設となります。
この計画のデザインは、ザハ・ハディド設計事務所によるもの。滑らかな有機的ラインと曲線により、開放的で透明な空間が創出されています。屋根の一部は8,000枚以上の曲面ガラスで構成され、巨大な天窓を形成することで、自然光の導入を増やし、エネルギー効率も向上させるのだそう。また、熱伝導率を低くして日射遮蔽パネルを採用し太陽光発電パネルを屋根に組み込ませたため、市の送電網からのエネルギー需要を削減できます。
建物の内部は、広々とした吹き抜けや、内部にオープンスペースを形成した展望台など、複数のパブリックスペースや専用のキッチンスペースで構成されており、近隣全体を貫く1.5kmの緑道で結ばれて九龍内のコミュニティが西九龍文化地区のウォーターフロントや公園に直接アクセスできるようになります。
また、約9,290平方メートルのガーデンテラスや広場があり、低層5階はショッピングとダイニング専用エリア、敷地の北端と南端には2つのオフィスタワーが連結して中央広場を囲みます。そしてこの広場は西九龍公園歩道につながっており、レジャーやレクリエーション、公共イベントなどに利用できる屋外集会スペースとなります。
タワーは、それぞれが異なる方向を向いており、西九龍を背景にした一連の「花びら」のような造りとなっています。また、駅上部に設けられた新しい景観テラスや市民広場と一体化しており、高階層に向かうにつれ屋外スペースが増えて、人の移動と空気の循環を促進します。
当初は181メートルほどの高さを予定
当プロジェクトは2019年から始まりましたが、当初は西九龍駅と柯士甸(Austin)駅の上に建設し、高さは181メートルの予定でした。しかしその後、中央フェリー埠頭から見た九龍半島の稜線を遮ってしまうことから建物の高さを制限する必要が生じ、その結果、建物の高さは158メートルに下げられました。
初期設計案は「ダイヤモンド型」
初期の提案書によると、当初は「钻石型」(ダイヤモンド型)の複合施設となる予定でした。この形もザハ・ハディドが得意とするスタイルのようでしたが高さ制限により再設計を余儀なくされたとのこと。
修正後設計案と見比べると、屋上の高さが変わっている様子が分かります。
完成は2027年
建設の進みは順調で、現在は屋上のレベルに達している模様です。完成は2027年を予定しています。
大湾区の総合ハブに
西九龍高速鉄道商業プロジェクトは、香港唯一の高速鉄道駅やエアポート・エクスプレス、そしてMTRに近接しているため香港のみならず中国本土や世界各都市へのアクセスも良く、大湾区の商業、文化、交通の総合ハブとなる可能性を秘めています。
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