中国外交部は11月22日、日本国民に対する中国短期滞在ビザ免除措置の再開を発表しました。これにより、日本人は30日間のノービザ滞在が可能となります。11月30日より有効となります。
30日滞在可能日数の計算方法と注意点、またオーバーステイ時の対処方法についても解説します。
2024.12.03 追記:大使館公式回答をもとに、オーバーステイ時の注意点、パスポート残存有効期間、その他注意点を追記しました。
2024.12.02 追記:パスポート残存有効期間について記載しました。
目次
11月16日、22日に大手メディアが報じる
コロナ前までは日本人の中国短期滞在ビザ免除措置(短期ビザなし渡航制度)が近日中に再開されるとの報道が、11月16日と22日に大手メディアより報じられました。
中国政府“日本人短期滞在ビザ免除”再開検討か(11/16 日本テレビ)
中国政府 日本からの短期ビザなし渡航の再開を検討 今月中にも再開可能性との通知(11/16 テレビ朝日)
日本人の短期訪中のビザ免除、中国が再開へ…日本側は中国人訪日ビザの申請簡素化で調整(11/22 読売新聞)
訪中短期ビザの免除再開か 中国が検討、月内にも発表可能性 日本との貿易促進狙う(11/22 産経新聞)
”中国商務省は21日、貿易の安定成長に向けた措置として、ビザ免除の対象国を拡大させるといった方針を盛り込んだ通知をホームページに掲載した。中国経済が成長鈍化に見舞われている中、ビザ免除の再開で日本との貿易を促進する狙いがあるとみられる。”(産経新聞)
そして11月22日午後に、正式通知が行われました。
中国政府、日本人向け短期ビザ免除の再開を発表 今月30日から(11/22 朝日新聞)
中国、日本人の短期ビザ免除を11月30日再開(11/22 日本経済新聞)
"中国政府は22日、日本人が中国に入国する際の短期滞在ビザ(査証)の免除措置を30日に再開すると発表した。2025年末までの措置とする。"(日本経済新聞)
中国外交部発表内容
以下全文掲載します。日本は 2024年11月30日 から 2025年12月31日 までの間「試験的なビザ免除政策の対象」となりますが、なんと、30日間滞在可能です!
为进一步便利中外人员往来,中方决定扩大免签国家范围,自2024年11月30日起至2025年12月31日,对保加利亚、罗马尼亚、克罗地亚、黑山、北马其顿、马耳他、爱沙尼亚、拉脱维亚、日本持普通护照人员试行免签政策。
中国と他国との人の往来をさらに円滑にするため、中国はビザ免除国の範囲を拡大することを決定しました。2024年11月30日から2025年12月31日までの間、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア、モンテネグロ、マケドニア、マルタ、エストニア、ラトビア、日本の一般旅券所持者は、試験的にビザ免除政策の対象となります。
此外,中方决定同步优化入境政策,将交流访问纳入免签事由,将免签停留期限自现行15日延长至30日。自2024年11月30日起,包括上述9国在内的38个免签国家持普通护照人员来华经商、旅游观光、探亲访友、交流访问、过境不超过30天,可免办签证入境。不符合免签条件人员仍需在入境前办妥来华签证。
さらに、中国は、相互訪問をビザ免除の理由に含めるとともに、ビザなし滞在期間を現在の15日から30日に延長することで、入国政策の最適化を同時に実施することを決定しました。2024年11月30日より、前述の9カ国を含む38カ国のビザ免除国の一般旅券所持者が、ビジネス、観光、親族・知人訪問、相互訪問、または30日以内のトランジットを目的として中国に入国する場合、ビザなしで入国することができます。 ビザなし入国の条件を満たさない場合でも、中国入国前にビザの申請は必要です。
続いて、中華人民共和国註日本国大使館も発表を行いました。
北京時間2024年11月30日0時から2025年12月31日24時まで、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア、マルタ、エストニア、ラトビア、日本の一般旅券を所持し、商業・貿易、観光、親族訪問、交流・訪問、トランジットを目的とする、中国に30日以内に滞在する人員に対し、入国ビザを免除します。上記ビザ免除条件を満たさない人員は、引き続き入国前にビザを取得する必要があります。
「30日以内の訪中ビザ免除」とは
中国短期滞在ビザ免除措置とは、短期間に中国を訪れる際に滞在ビザを免除するという取り決めでした。日本国民は、2003年9月よりこの短期滞在ビザ免除の対象となっていたため旅行や出張などで多くの方々が中国を往来していましたが、新型コロナの影響により2020年3月10日から停止となりました。
その後、中国政府は他国に対して徐々に短期ビザ免除を行うようになり、2023年12月よりフランスやドイツ、イタリアなど6か国に対して短期滞在のビザを免除し、2024年1月28日にはタイとの間で相互免除をの合意を行い、11月8日より韓国、スロバキア、ノルウェー、フィンランド、アイルランド、モナコのパスポート保持者に対して短期滞在ビザ免除政策を実施。そして今回日本を含む9カ国が追加され、合計38カ国がビザなし対象国となりました(2025年末まで免除)。
(12/3 更新)「30日間滞在」の計算方法は?
「30日以内」の滞在許可というのは、いつからいつまでのことを指すのでしょうか?
中華人民共和国註日本国大使館は11月30日に「一方的なビザ免除政策に関するQ&A」を公開し、この質問に答えています。
Q6.30日の停留期間はどのように計算しますか?
A.ビザ免除措置に該当する外国人は入国した日から30日目の24時まで連続して滞在可能です。
「入国した日から」30日目までの滞在です。12月1日に入国した場合は、その入国日からカウントが始まり、(12月1日から 30日目の)12月30日の24:00までに出国する、という計算になります。
これは、これまで多くの旅行者が活用していた144時間トランジットビザ免除措置や特区旅遊ビザ(アライバルビザ)の有効日数カウントとは異なりますのでご注意ください。(この場合の日数は翌日の0:00からカウントが開始されます)
(12/3 更新)日数を超えるとオーバーステイ
30日の日数を超えると当然オーバーステイとなります。大使館情報によると以下のような注意書きもされています。
Q10.もし中国滞在期間が30日を超えてしまった場合、延期することは可能ですか?
A.外国人で事前に30日以上の滞在を予定している場合、先に在外中国大使館/領事館にて目的に適応したビザを申請してください。もしビザ免除措置で入国後、合理的正当的な理由により中国での滞在の継続が必要とされる場合、現地の公安機関出入国管理機関に停留許可の申請を行ってください。
オーバーステイしそうな時はあらかじめ現地公安機関入出国管理機関に申請をする必要があります。
コロナ前に在重慶日本国総領事館の出していたオーバーステイに関するアナウンスも参考になります。
(当時は15日間のノービザ滞在が許可されていました。「30日間」に置き換えてお読みください)
3 入国後の滞在許可期間の超過
滞在許可期間を超えて滞在する,いわゆるオーバーステイです。オーバーステイになると,警告を受けたり,罰金が科されます(オーバーステイした理由に「情状酌量の余地がない」と判断されれば,行政拘留,更には再入国禁止措置がとられることがあります)。
(1)取得したビザの滞在期間(ビザ無しでは15日間)を超えて滞在した場合はオー
バーステイとなり,一日につき500元の罰金が科されます(罰金は最大10,000元)。病気で入院した等不可抗力で滞在を延長せざるを得ない場合は滞在地の境管理局に病院の診断書等を添えてビザを申請することでオーバースティ状態を回避することはできます。 しかし,単に「滞在を続けていたいから」との理由では許可されませんのでご注意下さい。(2)悪天候等により当初の帰国便が欠航となり,次の帰国便に搭乗するまでに滞在許可期間が超過してしまうようなケースも想定されます。この場合であっても事前に必要な手続等をしていなければ,オーバーステイしたものと見なされ,出国手続時に罰金の納付を求められる可能性があります。これを回避するためにも,次の帰国便搭乗までに滞在許可期間を超過することが明らかな場合は,当該帰国便の航空会社と相談し,欠航証明書の交付を受けた上,滞在許可期間内に最寄りの公安当局あるいは空港にある辺防検査において指示を仰ぐようお願いします。
(3)なお,中国人の母親が帯同する日本国籍子女の滞在期間を延長しようとする場合,公安局から親子関係を証明する書類(日本国大使館・総領事館作成の証明書)の提示を求められることがあります。同書類の作成には日本の戸籍謄本(原本)が必要になりますが,戸籍謄本等の準備がない場合,原本を日本から取り寄せる必要があり,また,証明書の作成にも時間を要することに留意する必要があります。
(4)因みに,「15日間はビザ不要」の規定を利用して,たとえば15日に1回ずつ,香港やマカオ,韓国等へ出国しては再入国を繰り返し,長期間の滞在を試みる方もいるようですが,パスポートの出入国履歴を見た当局者が「不審な出入国」と判断する場合には,強制退去に加え入国禁止措置を受ける可能性もあります。長期滞在予定者は,本来の滞在目的に則したビザを取得して入国してください。
コロナ前は多くの方がこの査証免除措置を活用して渡航していましたが、上記の注意書きについてはあまり意識していない方も多かった模様です。
当制度が復活したことにより、日中間のビジネス往来が回復に向かうことが期待されますが、上記のようにオーバーステイには十分注意してください。
(12/3 更新)パスポート残存有効期間は6ヶ月以上が望ましい
中国入国時に求められるパスポート残存有効期間はどれくらいでしょうか?
通常、ビザ申請時には比較的長いパスポートの残存有効期限がチェックされ、中国のビザ申請時に求められるパスポート残存有効期間は申請日から数えて6ヶ月以上が求められています。
一般的に、パスポートの有効期間は申請日から数えて6ヶ月以上なければなりません。
一方、ノービザ滞在が許可されている国家・地域ではこの期間が異なり、中には帰国ギリギリまで有効な場合もあります。
香港:滞在日数が1ヶ月以内の場合・・・入境時1ヶ月+滞在日数以上
滞在日数が1ヶ月以上の場合・・・入境時3ヶ月以上マカオ:入境時90日+滞在日数以上
台湾:帰国時まで有効なもの
韓国:入国時3ヶ月以上が望ましい
フィリピン:入国時6ヶ月以上
タイ:入国時6ヶ月以上
シンガポール:入国時6ヶ月以上
海外渡航を計画し、いざ空港の航空会社の窓口でチェックインしようとした際、渡航先国で必要とされるパスポートの残存有効期間が不足していることがわかり、渡航をあきらめなければならないケースが発生しています。
このようなことを避けるためには、お持ちのパスポートの有効期間満了日をご確認いただき、残存有効期間が1年未満である場合には、新しいパスポートへの切り替えをおすすめします(残存有効期間が1年未満となった段階でパスポートの切替発給申請が可能となります。)。
各国が外国人のパスポートに求める残存有効期間は、滞在期間や入国目的等により様々ですが、おおよそ3~6ヶ月以上とされている場合が多く、長期滞在を予定している場合には、滞在予定期間よりも長い残存有効期間を求められる場合もありますので、海外渡航を計画される際には、日本にある当該国の大使館、総領事館等に必要となるパスポートの残存有効期間をご確認ください。
中国ノービザ滞在の場合はどうなるのでしょうか?
(12/3 追記)
Q5.入国書類の種類及び有効期限に関して条件はありますか?
A.外国人は有効期限内の通常のパスポートを所持し中国に入国する必要があり、その有効期限は少なくとも中国での滞在日数以上必要です。旅行証、臨時または緊急の旅券など通常のパスポート以外の旅券を所持している外国人は、ビザ免除政策が適用されず、中国に入国することができません。
中華人民共和国註日本国大使館の公式回答では、「少なくとも中国での滞在日数以上必要」とあります。文字通りに解釈すると、有効期限が滞在日数ギリギリでも可能ということになります。
とはいえ、国土交通省管轄のHPや、他の大手ビザ取得代行会社・旅行会社の情報によると、入国時6ヶ月以上の残存有効期間が望ましいと記載しています。期間が短いと航空会社の搭乗カウンターで搭乗拒否される可能性もあります。中国渡航を検討されておられる方はパスポート残存有効期間にもご注意ください。
パスポート残存有効期間:入国時6か月以上が望ましい。
2023年3月27日より、パスポート更新はオンライン申請が可能となりました(マイナンバーカードが必要)
申請方法については以下の記事を参考になさってください。
(12/3 追記)その他注意点
「一方的なビザ免除政策に関するQ&A」には、中国渡航にあたって11項目の質問に答えています。その中で特に注意したい点を列挙します。
入国理由がビザ免除政策の規定に該当しない場合(は)…入国理由を示す招待状、航空券、ホテルの予約確認書などの証明書類を持参することを推奨します。なお、中国での就労、学業、取材報道などを目的とする方はビザ免除の対象外です。
ビザ免除措置に該当する外国人は、マルチでの入国が可能であり、ビザ免除入国の回数制限、合計滞在日数の上限は今現在設けておりません。ただし、入国目的にそぐわない活動をしてはなりません。ご注意ください。
ビザ免除の規定に該当すればスムーズに入国できると思われますが、ホテルなどの滞在先(友人宅であればその住所・名前と電話番号)を確認される可能性はありますので、予約確認画面などすぐに提示できるようにしておいてください。