深圳税関の発表によると、前海・蛇口自由貿易試験区の2021年上半期輸出入額は前年同期比57.4%増の7,235億元(約12兆2,700億円)に達し、高成長を維持しています。
好調の背景にはいくつかの要素がありました。特に税関側で様々な施策を打ち出していたのが功を奏したようです。
貿易量増加の背景
中国(広東)自由貿易試験区(China (Guangdong) Pilot Free Trade Zone、GDFTZ)の一部となる深セン市の前海・蛇口地区の2021年上半期対外貿易額は前年同期比57.4%増の7,235億元に達しました。
税関によると、この貿易量の増加は越境ECの成長、輸出を支援するための税関の円滑化措置とインセンティブの実施、そして税関監督の最適化によるものであると述べています。
越境ECの輸出入は161.3%増加
中国語で「宅经济」と呼ばれる巣ごもり消費が加熱し、輸出入量が増加し続ける中で越境ECは外国貿易の「新たな風」となりました。
2021年上半期、保税区内の越境ECの輸出入は161.3%も増加しました。
たとえば2020年12月には、華為技術(ファーウェイ)のサブブランドだったHonor(現在は独立)が、集積回路やその他のICT関連のスペアパーツの取引を目的として同区域で事業を開始。その輸入額は上半期で60億元にも達しています。
蛇口税関は、同地区における越境EC事業の高度化を継続的に推進しており、中国ーヨーロッパのEC特別列車の開設や、免税品保管のための配送センターの建設なども実現しています。
免税店グループの取引拡大
新型コロナの影響により多くの免税店は閉鎖されていますが、前海の免税品流通センターのサービスは中国免税グループの輸出入ビジネスのプラットフォームとなりました。
2020年5月以降、深圳税関傘下の蛇口税関は中国免税グループが前海総合保税区でグローバルな調達を行うための倉庫監督モード(warehouse supervision mode)を試験的に導入。その結果免税店の取引は飛躍的に拡大し、2021年4月には同じく免税店運営大手の深セン免税店グループもグローバル調達・集荷のために前海総合保税区での取引を開始しました。
より多くの企業が恩恵を受けられるよう、蛇口税関は積極的にこのモデルを全国の数十の免税店に複製・拡大しました。また、複数の電子商取引方法をワンストップで完結させ、天猫国际、虾皮、傲基などの業界リーダーを誘致。何千もの上流・下流の電子商取引、物流、貨物輸送企業の着実な発展を促すことに成功しました。
通関手続きの簡素化・迅速化が功を奏す
加えて、深圳税関は港エリアでの通関スピードと効率を促進するため2段階の税関申告モードやバージ(荷船)の港をまたいだ配置など数々の施策を打ち出し、通関手続きを平均で最大6時間短縮しました。
簡素化された通関手続きは貿易会社の時間と費用を節約し、その結果として前海を利用して輸出入を行う企業が増えたとのこと。貿易額増大の背景には様々な施策があったということが分かりますね。
Source:
ShenzhenDaily: Qianhai & Shekou FTA reports 57% H1 foreign trade growth