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日本の外務省は1月20日、最新の海外在留邦人数統計調査結果を公開しました。
中国の在留邦人は20年ぶりに10万人を割り、特に上海・北京・蘇州の邦人数が大幅に減少しています。公開データを元に中華圏都市別在留邦人数の推移をグラフ化しました。
目次
Shenzhen Fanは、令和6年(2024年)10月1日現在の「海外在留邦人数調査統計」推計を元に、中華圏主要都市の在留邦人(海外に3ヶ月以上在留している日本国籍を有する者)数を抽出し、グラフ化しました。
国(地域)別在留邦人数推移:米国・オーストラリア・中国で50%近くを占める
まずは世界のデータから。
令和6年(2024年)10月1日現在の推計で、日本国領土外に在留する邦人の総数は129万3,097人で、前年(129万3,565人)とほぼ同数となりました。国別では、米国に在留邦人全体の32.0%(41万3380人)、オーストラリアに8.1%(10万4,141人)、中国に7.5%(9万7,538人)がそれぞれ在留しており、上位3カ国で在留邦人の約48%を占めています。
中国に在留する日本人数は20年ぶりに10万人を割り込み、順位もオーストラリアに抜かれて3位となりました。

上記の表から上位15位の推移をグラフ化しました。在留邦人数は米国が2位以下を大きく引き離してトップです。実に4倍以上の差が付いています。オーストラリアはコロナ禍以降年々日本からの移住者が増えており、ついに中国よりも人数が多くなりました。中国のピークは2012年の15万399人でしたが、以降は減少傾向です。2023年の減少幅は-0.3%となり下げ止まったかに見受けられましたが、一気に4千人ほどの減少です。
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全体の海外在留邦人数はコロナ前の2019年をピークに減少していますが、2024年の減少幅は500人ほどで底を打ったようにも見えます。

都市別在留邦人数推計:上海は4位、香港は10位
続いて、都市別の在留邦人数ランキングは以下の通り。


上海は4位、香港は10位です。一番人気はアメリカ西海岸ですが、2025年の統計は治安悪化や山火事などの影響が数字にも表れそうです。

中華圏都市別在留邦人数ランキング:上海・北京・蘇州は大幅減、広州・深センは増加
そして、上記の都市別在留邦人数ランキングから中華圏のみを取り出した表がこちら。
2023年に下げ止まったかに見えた上海、北京は再び大幅減少。蘇州の減少は日本人学校の事件の影響と思われます。大連市は上位50位圏外となったため現時点でデータを取ることはできませんが、必ずしも在留邦人減少とは断言できず、横ばいの可能性もあります。

2019年からの推移をグラフにすると以下のようになります。2024年の広州・深圳は在留邦人数が増加していましたが、深圳で2024年9月18日に発生した日本人学校の邦人男児刺殺事件の影響が2025年の統計に大きく反映されることになります。恐らくかなりの減少が予想されます。

中国政府は2024年11月30日より日本人の中国短期滞在ビザ免除措置を実施し、日本人は30日間ノービザ滞在が可能となったため、短期で中国を訪問する日本人の数は増えている模様です。しかし、「在留邦人」の定義は「海外に3ヶ月以上在留している日本国籍を有する者」なので、そのような3ヶ月未満の出張者や旅行者などは含まれていません。
加えて、大使館・領事館への届出を行なわずに本帰国した場合、データがそのまま残ってしまうようです。そのため海外に滞在している実際の邦人数は誤差が生じていると思われます。
昨今の中国は外国人人材誘致に力を入れており、日本との関係改善も進めているようですが、中国本土における在留邦人数は今後も減少が続くと予想されます。