深センは無人運転車のライセンス供与について法整備を進める

完全無人の自動運転車が現実味を帯びていくにつれ、気になるのが免許などの法整備。

深セン市では他の都市に先駆けていち早く、無人運転車の登録・免許・走行に対応した車両保険制度交通事故責任判定制度の草案を発表しました。これにより法制度の全体像が見えてきました。

中国・深センにおける無人運転技術

世界的なイノベーションのホットスポットとなっている無人運転技術。中国でも自動車産業が変革・アップグレードするための重要な突破口として注目されています。

「無人運転技術は今後3-5年で爆発的に普及する」

調査によると、港湾地域での物流・自動清掃・無人回収車などの応用技術は比較的成熟しており、無人バスやレンタル用途を含む無人運転技術は、今後3~5年で爆発的な発展を遂げる可能性があるとのこと。

特に深センでは、人工知能、ビッグデータ、5Gなどの技術基盤が比較的しっかりしており、無人運転車産業の発展に向けた強固な産業基盤を持っています。

すでに深センでは一部で自動運転バスや完全自動運転タクシー「Robotaxi」の一般乗車も行われています。

中国では課題も

米国、日本、欧州などの先進国では長年にわたってこの分野に取り組んでおり、世界の17カ国では法的な障害をクリアするために、無人運転車・イノベーションの開発を規制する特別な法律や規制を策定・導入したり、既存の法律や規制を改正しています。

しかし、現在中国における無人運転車の開発は、市場に参入できない、免許を取得できない、車両保険制度が完璧でない、交通事故の際の責任を確定できないなど、多くの法的問題に直面しているようです。

深センにパイロットテストの権利を与える

2020年10月、中国共産党中央委員会総局と国務院総局は、《深圳建设中国特色社会主义先行示范区综合改革试点实施方案(2020—2025年)》(中国の特色ある社会主義の示範区を構築するための深圳総合改革試行実施計画(2020-2025年))を発表し、権限のある事項の第1リストとして、深センに人工知能や無人運転などの新興分野で早期にパイロットテストを実施する権利を与え、深センが経済特区を十分に活用することを支援することを提案したとのことです。

中国共産党中央委員会と国務院の戦略的決定を実行するために、深セン市人民代表大会常務委員会は、2021年の重要な立法プロジェクトとして《深圳经济特区智能网联汽车管理条例》(深セン経済特区におけるインテリジェント・ネットワーク車両の管理に関する規則)の制定を盛り込み、無人運転車両管理チェーンを規制し、無人運転技術の商業的発展に法的支援を提供することを決定しました。

現在深センでは(羅湖区、深汕特別合作区を除く)9つの行政区で144.69kmの道路をインテリジェントネットワーク接続車のテスト用に開放し、14件のロードテストライセンスを発行中。総走行距離は18,638kmで、開放面積、開放走行距離、ライセンス発行数のいずれにおいても全国トップレベル。

法案では、無人運転車が高速道路などでの走行テストやデモンストレーションを行うことができると規定されています。 また、市政府は車両と道路の連携インフラが整備されている行政区を選択して、無人運転車両の道路試験、実証適用、商業化パイロットのために全地域を開放することを許可し、それらの承認権限を開放されている地区の関連当局に委ねることとしました。

Image via 深圳卫视深视新闻

基準を満たした無人運転車製品は、深センの無人運転車製品カタログに掲載されて一般に公表され、販売、登録、ライセンスが許可されることになります。

公開草案

事故責任の決定

無人運転車両による交通事故の責任の所在を明らかにすることについて、公開草案では以下のように規定されています。

無人運転車が交通違反をした場合、公安当局の交通管理部門は法律に基づいて制御者または所有者を処罰する。

交通事故が発生し、無人運転車両に責任がある場合、車両の制御者または所有者は、対応する損害賠償責任を負う。

交通事故が無人運転車の品質の欠陥によって引き起こされた場合、車両の制御者または所有者は、法律に従って損害の責任を負った後、車両の生産者または販売者から補償を受けることができる。

保険制度

中国には強制加入の自動車保険制度があり、車両保険に加入した自動車しか道路を走ることができません。

草案では、無人運転車は強制的に交通事故責任強制保険と保険金額500万元以上の自動車第三者賠償責任保険(机动车第三者责任保险)に加入しなければならず、人を乗せる機能を持つ無人運転車は自動車乗員賠償責任保険にも加入しなければならないとしています。

安全規則

公共の安全を守るために、草案では主に以下の点が提案されています。

  • 無人運転は「条件付き自律走行」、「高度な自律走行」、「完全な自律走行」の3つの技術レベルに分類
  • 「条件付き自律走行車」には、対応する車種の運転免許証を保有しているドライバーを乗せること
  • 「高度な自律走行車」「完全な自律走行車」には運転者を搭載しなくてもよい
  • ドライバーは、無人運転車両が(運転の)引き継ぎ要求を発したとき、または車両が自律走行に適さない状態になったときに、直ちに引き継ぎを行わなければならない
  • 運転手のいない無人運転車は、車両が故障したときや自動運転に適さないとき、その他交通安全に影響を与える異常な状態になったときには、直ちに危険警告点滅装置を点灯させ、交通の妨げにならない場所に移動して駐車するか、速度を落として遠隔操作で引き継ぐなど、運行上のリスクを低減するための有効な手段を講じること

深セン市は草案のフィードバックチャンネルも開設

今回の草案全文は、以下のリンク(深圳人民代表大会ウェブサイト)で公開され、各方面から意見や提案を募集しています。

深圳市人大常委会办公厅:关于《深圳经济特区智能网联汽车管理条例(征求意见稿)》公开征求意见的公告

意見、感想は郵便、電子メール、ファックスで募集しているとのこと。(締め切りは2021年4月11日)

郵便番号: 518035

宛先:深圳市福田区市民中心A区 市人大常委会监察司法工作委员会办公室

電話番号:88128279

Fax: 88101550

E-mail: jcsfgw@szrd.gov.cn

深圳人大网ウェブサイト:www.szrd.gov.cn

深圳市政府オンラインサイト:www.sz.gov.cn

日進月歩の自動運転技術。法律の面でも深センがいち早く整備することでますます普及に向けて前進していくことでしょう。


Source:

深圳卫视深视新闻:突破!深圳将立法准许无人驾驶汽车上牌、运营

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