深セン発ファッションブランドの創り上げたバーチャルヒューマン「ELISA」

10月24日に開幕した深センファッションウィーク(2022 春/夏)にて本会場のトップバッターを務めた深セン発祥のファッションブランド ELLASSAY(歌力思)は、バーチャルヒューマン「ELISA」を創り出し、イメージキャラクターとして活用しています。

ファッションブランドがこのようなバーチャルアイドルを生み出すのは異例なことですが、今後は様々なビジネス展開が期待できそうです。

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ELLASSAY(歌力思)とは

中国のハイファッションブランド「ELLASSAY」(歌力思)は1996年に設立。2015年に上海証券取引所に上場以来、M&Aによるグローバルな統合を続けています。

現在は中国の「ELLASSAY」に加え、ドイツのハイエンドレディスウェアブランド「LAURÈL」、フランスのデザイナーズブランド「IRO」を買収。また、アメリカのライトラグジュアリートレンドブランド「ED HARDY」やイギリスのコンテンポラリーファッションブランド「SELF-PORTRAIT」をM&Aや合弁事業を通じて中華圏で展開。異なる市場セグメントをカバーするブランドマトリックスを形成中です。

Image via 深圳时装周

ニューヨークファッションウィークやミラノファッションウィークにも出展した国際的な当ブランドですが、ファッションだけでなく子会社の電子商取引の運営事業に特化したサービス会社「百秋电子商务」を利用してオンライン機能を向上させ、新しい小売分野を開拓。また、深センの完全子会社「野兽数字科技」を利用してブランドにデジタルオペレーションを提供し、オムニブランディング+オムニチャネルマーケティングでオンラインとオフラインを迅速に結びつけています。

最先端の技術を用いて多角的に展開している様子がうかがえます。ただのファッションブランドではないことが見て取れますね。

深センファッションウィーク(2022 春/夏)

10月24日にスタートした、深センファッションウィーク(SHENZHEN FASHION WEEK)2022年春夏コレクション。

ブランド創立25周年を迎えるELLASSAY(歌力思)はトップバッターを務め、メイン会場となる欢乐海岸に設営された“科技球幕秀场”と呼ばれる特設ドームにて、没入型の体験と音/光を組み合わせたテクノロジーショーを披露しました。

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AIでアイテムをリアルタイム識別・360度デジタル生放送を実現

深センファッションウィークは、テクノロジーとショーの組み合わせに重きを置いています。世界初の画像AI・マシンビジョンシステムを構築し、AIにより自動的にキャットウォークのアイテムをリアルタイム識別。これは知的財産の保護にも一役買いそうです。

そして、ELLASSAYがショーを行った360度没入型ドーム。サラウンドサウンドと光のテクノロジーショー。加えて360°デジタル生放送を実現したとのこと。ファッション業界のデジタル化も着々と進行中であることが分かります。

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ELLASSAYのバーチャルヒューマン「ELISA」

ファッションやアートの業界では、バーチャルなアイコンを作成することによって製品を効果的に表現でき、マーケティングは半分の労力で効果を倍増することができる、との見立てもあります。しかし、これまでに発表されたバーチャル・アイドルはほとんどがアニメーション制作会社からのもので、ブランド自身が制作したものはまずありませんでした。

深センのローカル・ブランドであるELLASSAYのバーチャルヒューマン「ELISA」はそういった意味でも新しいマーケティングの模索や試みとなります。

中国で話題となっているバーチャルヒューマン「AYAYI」は、現実世界にいるような雰囲気を醸し出していますが、ELISAは背景も完全なCG。不規則な幾何学的構造物の中に立つPVでは、ELLASSAYの世界観もどことなく表現しているように感じられます。

アイコンやイメージキャラクターというのは、ファッションブランドやデザイナーズブランドにとってのマーケティングツールとして定着しており、ブランド商品の売上やコンバージョンを高める効果がありますが、それぞれの俳優が他社と契約したらファンも一緒に移っていくためブランドへの忠誠心とは一致せず、ブランドの存在感は相対的に弱いものとみなされています。

デジタル技術によって生まれたバーチャルアイコン・バーチャルヒューマンは、このような状況を打破する「ブランドのDNAを持ったアイコン」になることが可能です。ELISAは、ただの洋服やヘアスタイルだけの平面的なキャラクターではなく、ペルソナやパーソナリティ、ストーリーなどの精神的な部分までコアを作り上げ、美意識から感情まで、消費者に豊かに訴えかけることができる立体的で多様なキャラクターになるのだそう。

ファンと共に成長するバーチャルヒューマン

今後は、視聴者からの意見やアイデアを取り入れ、ライブストリーミングや国境を越えたコラボ、ソーシャルコミュニケーションなどにより、アバターとファンコミュニティの両方が成長していきます。加えてゲームや有名音楽、ドラマなどIPとのコラボレーションによって、ファッション以外の異なる分野でもELISAは人々の注目を集めていくことが期待されています。

最近話題のメタバース(仮想世界空間)は、リアルなイメージの強かったファッション業界でも注目されています。今後は他ブランドからもバーチャルヒューマンが続々登場するかもしれません。


Source:

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