深セン、中国で初めて香港人向けにデジタル人民元テストを開始

深セン市は、中国本土にいる香港人を対象としたデジタル人民元のテストを開始しました。今後は深センー香港のクロスボーダー流通だけでなく、2022年の北京オリンピックに向けて外国人にも利用可能にし、デジタル人民元のグローバル化も視野に入れています。

中国がここまで動きを活発化させている背景には国際情勢が大きく関係しているようです。

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香港人向けのデジタル人民元テストを実施

先日、深圳市人民政府と中国人民銀行深圳中心支行は、デジタル通貨の研究開発を着実に推進するため、羅湖区人民政府が中国银行股份有限公司および中国银行香港股份有限公司と協力して、中国本土にいる香港人を対象としたデジタル人民元(数字人民币)のテストを実施しました。

香港人に対するデジタル人民元の実証実験については2020年から検討されてきましたが、テストは今回が初めてです。

今回の主なテスト対象者は以下の2種類。

  1. 深センを頻繁に行き来する香港人で「香港居民来往内地通行证」により本名認証できる人
    本土の旅行許可証で本人確認をした上で、1日の取引限度額が5万元以下の電子ウォレットを登録可能
  2. 深センをたまに訪れる香港人で「香港居留証」のみを所持(本土の旅行許可証を持っていない人):
    香港の携帯電話番号から匿名で5種類のデジタル人民元ウォレットを開設可能(利用可能な金額は少ない)

「両替が便利で支払いもスムーズ」

香港在住で、深センで長く働いているあるテストユーザーは、宝飾屋でデジタル人民元の支払いを体験した際「両替が便利で支払いもスムーズだと感じています」と語ったそう。

今回のテストでは、深センを行き来する香港人がデジタル人民元を使って国境を越えた決済シナリオを構築することに成功し、香港人が深センで消費する際の国境を越えた取引コストを削減するための基礎を築きました。

Image via 人民网

これまでのところ、このテストは中国本土での小売店での支払いに限られていますが、次のステップでは深センと香港でデジタル人民元のクロスボーダー流通を促進していく方向のようです。

香港ではすでに人民元が広く使われているため、デジタル人民元は現金に代わるものとなり、国境を越えた買い物をしなければならない人々に新たな支払いの選択肢を提供することになります。

2022年の北京オリンピックに向けて外国人にも拡大へ

そして、中国ではデジタル人民元の世界進出にも視野に入れています。 中央銀行は最近、一部の銀行や電子商取引プラットフォームを含む数十社の企業と提携し、中央銀行のデジタル通貨を広範囲にテストしています。これには、2022年の北京冬季オリンピックで、外国人のオリンピック来場者や競技者がデジタル人民元を使用するシナリオを含む詳細なテストを行うことも含まれているのだそう。同時に海外でのテストも計画されているとのこと。

中国人民銀行が8月に発表した最新の人民元国際化年次報告書によると、香港は2019年も最大のオフショア人民元市場(=中国本土外で流通する人民元市場)であり、8兆8,300億元(1.3兆ドル)に相当するクロスボーダー人民元の決済と収益の44.9%を決済しており、 香港の決済額は次点のシンガポールの10.3%を大きく上回っています。

先日発表された中国の5ヵ年計画には「デジタル通貨の開発を着実に進める」という提案が含まれています。 当サイトでも以前紹介したように、深センをはじめとするいくつかの都市ではデジタル人民元を使った数百万元のクーポン券を地域住民に提供しており、デジタル人民元の展開を加速中。

商務部が8月に発表した計画によると、今後数年間で、広東省・香港・マカオの大湾区エリアを含むいくつかの地域で、デジタル人民元のテストを拡大する予定です。デジタル人民元の運用エリアを拡大する意図が明確に現れています。

デジタル人民元のグローバル化により、米ドルに対抗

3月27日に中国とイランの間で締結された25年間の包括的戦略協定の中には、石油の人民元決済およびデジタル人民元決済の記載が盛り込まれました。他にも現在はロシア、パキスタン、ナイジェリア、アルジェリアなど、30カ国以上の国が人民元を決済通貨として採用中で、中国は世界中で米ドルの覇権に対抗しようとしています。

Image via 网易新闻

"香港の金融センターをアメリカから守る"

今回の香港におけるデジタル人民元のテストは、中国にとって非常に重要な意味を持っています。

今後米国が、香港の金融センターの重要な「足」である香港ドルをSWIFT(国際銀行間通信協会/Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)から外すことになると、外国人投資家は香港ドルを自由に交換できなくなり、米ドルの流入も瞬時に止まります。香港ドルと米ドルを結びつける為替制度は完全に切り離され、香港ドルの価値がなくなってしまい、香港の金融センターが絶望的な状態になってしまいます。

中国はこの点を警戒しているため、香港でのデジタル人民元のテストを加速させており、同時にグローバル化への技術的、制度的な経験を蓄積中です。

世界の外国為替取引に占める過去6年間の割合は成長率300%を超えている人民元。今回の香港人に向けたデジタル人民元のテストは、広い視野で見ると今後の国際情勢に大きな影響を与えるものであることが分かります。


Source:

深圳商报:深圳面向香港居民开展数字人民币跨境支付测试

网易新闻:香港人先用上了数字人民币,历史性的时刻来了!下一步是征服全球

网易新闻:货币反击加速 ! 数字人民币香港测试,有何战略意义?

人民网:深圳在全国率先面向香港居民开展数字人民币测试

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