深センの「トイレ革命」進行中、スマート設備を備えたトイレが市内に続々と出現

中国の公衆トイレは、長年衛生面やプライバシーが保たれておらず、お世辞にも綺麗とは言えない状態が至るところで指摘されていましたが、近年の中国は都市部で「トイレ革命」を開始。

深セン市内の公衆トイレは美しいデザインやスマートな設備を兼ね備えた施設に様変わりしています。

改革開放初期のトイレ事情

中国の改革開放初期、中国の公共トイレは外国人観光客から多くの苦情が寄せられていました。トイレの不衛生さに加えプライバシーが守られていないことが大きな要因で、特に農村部はひどいものでした。

改革開放の発祥地である深圳も、当時は本土の他の都市に比べて衛生面では劣っていたようです。以下の写真は深圳市が設立された1979年に、羅湖区人民北路の公衆トイレを訪れた3人の外国人を写したもののようですが、このトイレは数十年来の中国都市部の典型的な公衆トイレで、壁に囲まれてはいるものの不衛生で、ドアのない個室は不安を感じさせるものでした。

Image via ShenzhenDaily

2015年から「トイレ革命」を開始

中国は2015年、観光地のトイレの数を増やし、衛生状態を改善するために「トイレ革命」を開始。その後、都市部の公衆トイレの改善や、農村部でのより良いトイレの建設にも拡大していきました。中央政府と地方政府からの多額の投資により、このキャンペーンは国中の基本的な衛生サービスを大きく変えた模様です。

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深圳市も同様です。市の都市管理局によると、過去3年間で374の新しい公衆トイレが建設され、約3,000の古いトイレが改修されました。

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深圳市は、公衆トイレの改修設計を見直す仕組みを構築し、専門家を組織して基準や仕様に照らし合わせて精査を行い、改修された公衆トイレを一つ一つ検証して質を向上させています。

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国内では行き過ぎた「トイレ革命」も

中国国内の一部の地域では、少し行き過ぎた「トイレ革命」もあるようで、トイレ内にLEDテレビや冷蔵庫、電子レンジ、トイレットペーパーの盗難を防ぐための顔認証システムなどが備わっているトイレも存在するようですが、深センの新しい公衆トイレの多くは、無駄な虚栄心を煽るような機能ではなく実用的なデザインと近代的な設備で話題となっています。

スマート設備を備えた深圳のトイレ

深圳の「トイレ革命」は、単に基本的な公衆衛生のレベルを上げることだけが目的ではないようです。新たに設置・改修された公衆トイレの多くは衛生的なだけでなく、美しいデザインやスマートな設備を備えており、先駆的な都市である深圳のトイレを新たなレベルに引き上げています。

地下鉄3号線双龍駅にある公衆トイレ Image via ShenzhenDaily

深センはこの "トイレ革命 "に本気で取り組んでいるようで、2017年に市の都市管理局が発表した公衆トイレの建設・改修に関するガイドは合計66ページにも及び、想像できる限りの詳細が記載されているのだそう。既存の洗面所の改修に関しては、工事の開始が許可される前に改修計画が専門家の審査を通過することが求められており、品質の面でも必要な基準に達するように取り計らっています。

地下鉄3号線双龍駅にある公衆トイレ Image via ShenzhenDaily

市内各所にある公衆トイレ一例

深圳では、タクシー運転手や配達員、宅配便の人たちが気軽に利用できるように100個の小さな公衆トイレが街角を始め至る所に建設されたようです。

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これらのトイレには、エアコン、無線LAN、充電ポート、ハンドドライヤー、フレグランスディフューザー、赤ちゃんのおむつ交換台などが設置されているものもあり、体の不自由な方でも利用できます。

地下鉄3号線双龍駅にある公衆トイレ Image via ShenzhenDaily

福田区

女性のニーズも考慮されています。男性用トイレの50%以上の広さが必要とされる女性用トイレの数を増やしました。莲花山の頂上に新設されたトイレでは、男性用の個室と小便器が16個であるのに対し、女性用の個室は25個です。多くの公衆トイレには、授乳室や赤ちゃんのおむつ交換台が設置されており、手すりやフックなども設置されています。大規模なトイレには、「第3のトイレ」が設置されているところもあり、母親が子供を介助するなど多目的に使用されています。

福田区莲花山の上にある公衆トイレ Image via ShenzhenDaily
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羅湖区

羅湖区の文锦渡口岸エリアにある公衆トイレ Image via ShenzhenDaily

南山区

南山区のハイテクパークにある公衆トイレ Image via ShenzhenDaily
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大鵬新区:「最も映える公衆トイレ」として話題に

リゾートエリアとしても有名な大鵬新区もトイレ革命に力を入れています。市内で初めて公衆トイレの補助金支給プログラムを策定し、教育・交通部門と協力して、区内の学校、ガソリンスタンド、バスステーションなどにおける公衆トイレの整備を推進しました。

そして、大鵬新区は海に面した公衆トイレを建設。このトイレはネットユーザーからも大絶賛され「深センの映える公衆トイレトップ10」にも選ばれたのだそう。

深圳新闻网:我为群众办实事 | 较场尾,又有新变化!

大鵬新区の“网红公厕” Image via 深圳发布

適切なメンテナンスと教育が必要に

近代的で設備の整った公衆トイレも、適切なメンテナンスをしなければすぐに不潔な状態になってしまいます。深センでは2018年以降、毎月公衆トイレ環境指数を発表し、市内の74の小区と16の産業における公衆トイレの管理状況をランキング化しています。このランキングとそれに伴う検査によって、公衆トイレの管理が行き届いていることが確認されています。

Image via 深圳发布
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もちろん、トイレの使用に関するエチケットについても一般市民に広く教育していく必要があります。市内のトイレには清潔に使用するようにとの注意書きがよく見られるようになっていますが、このようなトイレのマナー向上と適切な整備によって「トイレ革命」が進行していきます。


Source:

ShenzhenDaily:Opinion | The beauty of Shenzhen’s public toilets 深圳公厕之美

深圳发布:世界厕所日 | 深圳公厕悄换新颜,有颜值更舒适!

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