空飛ぶタクシー「eVTOL」、2024年内に「深センー中山」ルート開通へ

このスピードの速さよ

「eVTOL」(電動垂直離着陸機)と呼ばれる空飛ぶタクシーは、2月末に「深センー珠海」間のデモ飛行に成功したばかりですが、2024年内には「深センー中山」間の飛行ルートが開設されると報道されました。

「深センー珠海」間のデモ飛行成功、20分で到着

2月27日、eVTOL開発企業「峰飞航空科技 / AutoFlight」(以下AutoFlight)は、5人乗りの電動垂直離着陸機「盛世龙」号による「深センー珠海」間のデモ飛行を成功させました。深圳の蛇口フェリーターミナルから珠海九洲港ターミナルまでを20分で飛行したとのこと。

Image via 人民日报

現在、蛇口から珠海までは車で片道2時間半から3時間を要し、フェリーでも1時間かかるところを、20分で到着するのは画期的です。

AutoFlightが独自に開発した当機体は、最大離陸重量2,000kg、最大積載量400kg、最大航続距離250km、最大巡航速度200km/hとなります。「盛世龙」号は2023年に、2トン級eVTOLの一回の充電飛行で250.3kmの世界航続距離記録を樹立しています。

Image via 人民日报

eVTOLは、従来の空港や滑走路を必要とせず、ヘリコプターのように垂直に離陸後、空中で固定翼モードに変換し、従来の大型航空機のように高速で巡航するスタイルです。動力は電気のため、安全で環境に優しく静かなのだそう。実用化の折はスマホで予約することが可能になるとのこと。

Image via 人民日报

「深センー珠海」間の実用化は2026年、価格は200-300元

eVTOLの運航コストはヘリコプターより安く、自動操縦機能の強化によりパイロットに求められる要求も高くはなく、料金も比較的安くなります。一人分の運賃は200-300元となる見込みです。

研究開発の責任者である谢嘉氏は、これは航空産業の歴史に革命をもたらすものだとし、「石油で動くヘリコプターから電気で駆動するeVTOLへの変化で、騒音レベルは従来のヘリコプターの10分の1〜100分の1となる。eVTOLは一度や二度飛ばすだけではなく、人間の生活や移動の仕方を変えることができなければ意味がない」と意気込みを語っています。

Image via Autoflight 峰飞航空

「深センー中山」飛行ルートは2024年内に開通

中山市も乗り気です。

3月1日に、深圳市低空经济产业协会(深圳市低高度経済産業協会)と、深圳市东部通用航空有限公司の関係者が中山市を訪れ、中山三角机场や、年内完成予定の「深中航空港」 のインフラ条件を確認しました。

中山市では現在、市内にヘリコプターとeVTOL固定離着陸場を建設し、低高度有人都市間飛行、接続飛行、緊急救助、交通監視、都市航空ツアーなどのインフラ配置・ルート計画の技術支援を提供する短期・中期・長期計画を進行中。そしてなんと、今年中に「深センー中山」間の低高度飛行ルートを開設する計画である。と報じられました。

Image via Autoflight 峰飞航空

宝安前海にも発着場を設置

そして、宝安前海の巨大観覧車で知られる宝安浜海文化公園の大铲湾エリアには、「大铲湾低空经济公共服务中心」が3月末の完成を目指して建設中。宝安交通グループが建設を担当し、総建築面積は約18,000平方メートルで、発着場や格納庫をはじめ、低高度経済産業に関連する複合施設となる模様。

完成すれば、ここが世界初の都市型航空交通ルートになると期待されています。

滨海宝安:大铲湾低空经济公共服务中心本月底竣工!有望落地全球首条城市空中交通航线!

Image via 滨海宝安

今後の展開:「低高度経済」で大湾区を活性化

AutoFlightは大湾区でサービス提供中のヘリコプター越境飛行運営会社东部通航(東部通航 / HELI-EASTERN)と戦略的パートナーを結んでおり、すでに東部通航は100機のeVTOLの購入契約を締結済みとのこと。将来的にはより多くのeVTOL路線を運航し、より多くの商業化シナリオを推進する予定です。

Image via 东部通航

最近、深センでは《深圳经济特区低空经济产业促进条例》(深セン経済特区低高度経済産業促進条例)が正式に施行され、低高度経済の重要なパイロット都市としての特別規定が導入されました。これにより、eVTOLの認可プロセスが大幅に簡素化したのだそう。そして、深センの低高度経済産業はすでに1,500社以上の関連企業を集め、規模は兆元を超えているようです。

今後数年間で、実に数百のeVTOLルートと数千の離着陸ポイントが開設される計画が進行中です。その結果、GDP総額が13兆を超える広東ー香港ーマカオ大湾区の中核都市が結ばれることになり、これが巨大な「低高度経済」発展効果をもたらし、今後10年間で中国の経済成長の新たなエンジンになるかもしれない、と期待されています。

Image via Autoflight 峰飞航空

2024年開通予定の「深中通道」も相まって、湾を隔てた深センと珠海/中山は一気に距離が近くなりますね。


Source:

深圳交通:eVTOL跨城跨湾航线首次演示飞行!深圳-珠海20分钟快速达!

Autoflight 峰飞航空:盛世龙完成深圳-珠海eVTOL跨海跨城飞行

人民日报:首飞成功!“空中出租车”要来了

中山市交通运输局:今年开通航线!深圳考察团赴中山调研低空飞行基础设施

中山日报:深中低空飞行航线,今年开通!

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事