深センの前海に中国最大の”書城”(ブックシティ)の建設が開始されました。約13万平方メートルもの敷地に建てられる書城の名称は「深圳书城湾区城」または「湾区之眼」と呼ばれます。
民俗博物館も包含する当施設は非常に開放的なデザインで老若男女に親しまれる文化的ランドマークになりそうです。
「深圳书城湾区城」
前海水城は放射状に新都市の開発が進められています。宝安中心部に隣接する沿岸地域には、宝安区政府、宝安図書館、宝安青少年宫、「湾区之声」というオペラハウスなどの重要な施設がひしめき、地域の文化的、生態的、交通サービスの中核となります。
「湾区之眼」建設予定地は以下の青枠内。公園の西側にはビジネス街、東側には商業、住宅、オフィス街が展開する機能エリアは、「中央绿轴公园」と呼ばれる公園を中心に立体的な緑の都市フレームワークを形成します。
深センには大型ブックストア「書城」がいくつも存在します。
ブックストアを多数保有し、「深圳书城」(深セン書城)「新华书店」(新華書店)「24小时书吧」(24時間ブックバー)なども運営している中国の大型出版流通グループである深圳出版集团有限公司は「一区一書城」戦略を展開中。深圳を万人のための読書の世界的モデル都市にしようとしています。
総床面積は約13万平方メートル
(湾区民俗馆を含む)深圳书城湾区城の総床面積は約13万平方メートルで、完成すれば中国最大のブックシティとなります。
当プロジェクトのデザイン戦略は、「建物をオープンにする」というもの。新しい建物によって人々が公園を横断する際の制約にならないように、歩行ルートが建物に邪魔されないように設計されるのだそう。
床面積の74%以上が地下
書城の床面積の実に74%以上が地下にあり、地下鉄の駅から地下通路へのアクセスも容易に行えます。
全天候型の都市型通路に加え、地上と地下の空間を結びつけた開放的なデザインにより、書店の営業終了後も文化的な都市体験ができるようになっています。
“曲水流觞“で没入型の文化体験
建物の内部空間は、「曲水流觞」の形をした小道で結ばれます。日本では「流觴曲水」「曲水の宴」と呼ばれ、平安時代、奈良時代に流行ったこの遊びは、折れ曲がっている水の流れに杯を浮かべ、その杯が自分の前に流れて来ないうちに詩を作ることを競う中国古来の風流の遊びですが、このような古来の文化をモチーフとしたパブリックスペースとなる予定。
読書スペースといっても、現在は様々な人たちがそれぞれの目的を持って訪れます。当書城は、親子のためのスペース、アクティビティのためのスペース、独りで利用するためのスペース、写真撮影のためのスペースなど、さまざまな文化的消費者のニーズを満たすように注意深く設計されているのだそう。また、海外の書籍を扱うコーナーや、香港・マカオ・台湾専用の販売スペースもあります。
湾区民俗馆
湾区民俗馆(民俗博物館)は、中国南部の嶺南地方の民俗文化に焦点を当てた展示となります。
建物にもさまざまな工夫が
建物の屋根は「緑の絨毯」のようなデザインとなり、中央公園の緑地をほぼそのまま残します。
また、地上と地下の建物を統合的にデザインすることで、敷地の気候を調整すると同時に、建物のエネルギー消費を抑えることができるのだそう。広大な敷地に雨水を再利用する「海綿城市建設技術」を採用しており、完成後はグリーン建築のベンチマークとなります。
上部からは2つの目のようにも皿のようにも見える、深圳书城湾区城。完成時期は未定ながらも新たな文化的ランドマークとして期待を集めます。
Source: