「深圳」×「教育」企画 インタビュー:イノベーション都市 深センから考える日本人の教育・子供達の未来について
SegMaker展示品
去る10月26日に行なわれた、「深圳」×「教育」企画:「イノベーション都市としての深圳」セミナー終了後、深センに駐在されている幾人かのお母様方・奥様方にインタビューを行ない、深センに住む日本人の教育に関する生の声をお聞きすることができました。海外在住の日本人に共通するお母様方の悩みや、プログラミング教育のこれからを考える貴重な情報を提供してくださいました。

2017/10/16に、東京大学 社会科学研究所 伊藤亜聖 准教授による「イノベーション都市としての深圳」教育セミナー(epis Education Centre主催)が华强北の「SegMaker」で開催され、普段は見ることのできないスタートアップ企業のメイカースペース・コワーキングスペースを見学し、世界最先端のテクノロジーに触れることができました。終了レポートは以下のリンクからご覧頂けます。

https://www.shenzhen-fan.com/2017/10/30/report-education-seminar-segmaker/


セミナー終了後、上海から深センに来られたばかりの方・タイのバンコクから深センに移動し、今月駐在が終了して日本に帰国される方・10年以上深センに在住されている方を含め合計7名の駐在奥様方にインタビューを行ないました。 

 
 
 Q:深センのテクノロジー中心地、华强北に来たことがありますか?
 
 ー 初めて来た(3人)
 ー 今までに一度だけ来たことがある(4人)
 
インタビューを行なった7人中、3人は今まで华强北を訪れたことがなく、他の4人は一度だけ訪れた経験がある(スマートフォンの画面修理・バッテリー交換のため、ゲストの観光案内...)とのことでした。
 
 
 Q:深圳で起こっているメイカームーブメントについてご存知でしたか?また、現在深圳が世界から注目されていることをご存知でしたか?
 
 ー 知らなかった(全員)
 
お母さま方の全員が「知らなかった」と回答しました。男性の中ではある程度認知されているものの、日本からの駐在員として生活されているお母さま方・奥様方にとっての知名度は低いようですが、「深センを知らなかったので、知るいい機会としてこのセミナーに参加した」と回答された方もおられました。海外での駐在生活・子育てで忙しくされている奥様方も、子供の将来のために興味を持たれている様子をうかがい知ることができます。
 

 

SegMaker_makerspace

SegMaker内部の展示品

 
Q:メイカースペース、コワーキングスペースがどんな場所かわかりましたか?深圳にはこのような場所が、今日見学した「SegMaker」以外にもまだまだありますが、ご存知でしたか?
 
 ー イメージはなんとなくつかめた。
 ー 今まで深圳にこのような場所があるとは全く知らなかった。
 
実際に見学して、体験することによって深圳の中で実際に行われていることのイメージをつかむことができたようです。セミナー受講後、皆様は口を揃えて「深センがここまで有名とは知らなかった」と驚かれていました。
 
 
Q:「SegMaker」では、STEM教育・STEAM教育のワークショップが週末に開催されています。3Dプリンターなどを使ったものづくりに興味がありますか?お子さんにものづくりをさせてみたいですか?
 
 ー 子供を参加させたい。
 ー 子供は見たら興味あるので体験させたい。
 ー でもちょっと遠いかも。海上世界(深センの南西にある外国人比率の高いエリア)近辺で行なってくれると助かる。
 
深センに来られる前にタイのバンコクで駐在されていた方は「日本にいた時はレゴのプログラミング教室などがあり、バンコクの幼稚園のアフタースクールでもそのような教室はありました。深センでもそういうのがあるのかな?と期待して来たのですが、どうやって探したらいいかわからないのです。案内が中国語ばかりなので、英語で教えてくれるとありがたいのですが、そのような情報を教えてくれる人がいなかったのです」という率直な意見を述べておられました。言語の壁があるとどうしても手に入る情報が限られてしまい深センに住んでいるのにせっかくのチャンスを失ってしまっている現状があるようです。
 

 

Segmaker_seminor

Segmakerでのセミナー 

Q:今回のセミナーで印象に残ったことはありますか?深圳のイメージが変わったり、新しい学びはありましたか?
 
 ー 深センは新しいものが生まれている街というのは知ってたが、具体的にどんな街なのかを知ることができた。
 ー 政府から研究開発にお金の援助があるということも知らなかった。
 ー 国際特許が多いのがすごい。
 ー 今まではコピーのイメージ・下請けのイメージだったが、新しいものを産む側になっていた。うちの子もその流れに乗ってくれたらいいなと思う。
 ー 私たちはすごいところにいるんだなと実感した。
 
大多数の方が、深センに関するイメージはがらっと変わったと述べていました。同時に、これからの時代に必要とされるスキルについて考えるきっかけを持たれたようです。一人のお母さまは「プログラミングというと、目が悪くなりそう…というネガティブな印象を持っていました。プログラミングが流行っても専門家だけが必要とするスキルであって、そこまでやらせなくても良いのではないかと考えていました。でもこのセミナーを通して、プログラミング技術はマーケティングにも活用されていることを知って、子供にも教える必要性を感じました」とおっしゃっていました。
 
 
 Q:WeChat企業のテンセント(騰訊)・ドローン企業のDJI(大疆)などの企業見学や、メイカースペースをめぐるツアーに参加してみたいですか?(お母様向け)
 
 ー 話のネタになるので参加したい。でも本当は子供も一緒に参加できたら嬉しい。
 ー 土曜日・日曜日などに開催してくれたら家族も来れる。
 ー 実際に参加できなくても、塾や他の教育イベントなどで様子を動画を見せてもらえるだけでも嬉しい。
 
参加したいという意見が大多数でしたが、企業見学などは自分よりも主人や子供の方が興味があるので、一緒に参加できる方がいいというご意見をいただきました。ご家族も参加できる土日となると企業とのスケジュールも調整が必要となりますが、検討していきたいと考えています。
 

 

SegMaker内部での3Dペン体験

SegMaker内部での3Dペン体験

 Q:イノベーション都市深圳で子供達にどのような事を学ばせたいですか?経験させたいですか?
 
 ー 今はプログラミングに興味がないかもしれないが、触れさせれば興味を持つと思うので、色々な経験を与えたい。
 ー 体験型のイベントがあるとうれしい。
 ー ドローンのイベントがあれば親も子も参加したい。
 ー 体験させてもらえたら子供にとって遊びの延長になる。
 ー 子供にやる気を起こさせたついでに英語と算数がんばってね、お母さんの言うこと聞いてね、と先生の方から励ましてほしい(笑)
 
ここで子供を育てていて、せっかく色々な技術が身近にあるのに与えられていない…と多くのお母様方は感じられたようです。一人の方は「日本人が多く住む蛇口(Shekou)や学校周りを往復するだけで普段の生活が成り立ってしまうので、その周辺に何があるのか分からず、深センはなにもないね。。。と言って生活していたのが実情です。でも実はすごい会社がたくさんあるのに気づきました。こんな素晴らしいところがあるんだよ!ということを家族に伝えたいです」と、述べておられました。
 
 

 

インタビュー終了後も、現地で駐在生活をされている方のリアルなご意見をお聞きすることができました。以下抜粋してご紹介します。

 
「日々生活していると、WeChatの電子決済など当たり前になってしまって、(中国在住の日本人の)子供達は、これが中国特有のもので日本にはない便利な技術だとは認識していない
 
「ここでは、ボロボロのタクシーのフロントミラーにも液晶がついていてスマホのナビを使いこなしている(日本ではいまだに地図を開いて見ているタクシー運転手がいるのに)し、電気自動車のタクシーもたくさん走っている。そのような日常生活で日本と大きく違っている部分や、世界で進んでいるところを子供に教えたいが、説明するのが難しいのでこういったセミナーの機会があると助かる」
 
「中国に移住すると、子供は中国語を学べて最先端の技術も触れる機会があり、日本にいるよりも見聞を広めることができるように思われがちだが実際はそこまでうまくはいかない」
 
「こちらの学校では、中国語の授業は週に一度だけ。英語の授業は週に2度だけ。授業の内容も昔と変わらない勉強方法で教えているように感じるので、これからの世の中についていけるのか不安
 
ここにいたからこそ学べるものを与えたいが、そういうものを与えることができていないように感じる」
 
 
海外生活の中で教育に関する実情をお聞きしていくと、海外の駐在は多くの場合3年で終わってしまうため「ここに3年しかいない」と考えると多くの親御さんはお子さんが帰国後に日本の学校のカリキュラムについていけることを最優先に考えるようです。海外に染まりすぎると日本に戻った時に(海外では個性として扱われるのに)目立って叩かれてしまうことを懸念して、そのような心配の少ない日本人学校に入れるパターンが多いそうです。一方でインターナショナルスクールに入れる親御さんもいますが、現地にいると現在の日本の教育水準が分からないため、どちらの学校に入れても「これで良かったのだろうか」と親はずっと迷い続けるそうです。
 

 
世界でも屈指のイノベーション都市、深センで子供達の教育に深く携わっている epis Education Centre「わかば深圳教室」教室長 渡辺 敦さんは、今回のお母様方の率直なご意見・悩みを受けて、深セン在住の日本人に役立つセミナー・イベント(ドローンレッスン(英語)、MakerFaireShenzhenツアーPETS(プログラムロボットのワークショップ)、Makeblock(STEM教育のワークショップ)などを企画中です!
 
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鈴木 陽介  (著) 

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