現在開催中の、2019年 深圳デザインウィーク(SHENZHEN DESIGN WEEK)。その中でも特にお勧めなのが、日本との繋がりがとても深い「Ideashop 観念識集 _ing展」です。日本の著名なデザイナーも参加しているこの展示会は、あるコンセプトのもと様々な工夫が施されています。初日の4/21にはオープニングフォーラムが行われ、参加デザイナーのトークイベントも開催されました!
目次
「Ideashop 観念識集 _ing展」とは
「Ideashop 観念識集 _ing展」とは、深圳デザインウィークの一環で日本の3組のデザイナーによって深圳湾万象城内にて開催中の(詳しい情報は巻末に記載してあります)、ポップアップショップ型展示会です。
「IDEASHOP」は、2018年に開催された「IDEASPOT」から派生しているとのこと。(IDEASPOTについての詳しい情報はこちらから)
コンセプト
タイトルにある「ing」の意味は、2019年の深圳デザインウィークのテーマ「可持续的设计(DESIGN FOR SUSTAINABILITY) 」"持続可能なデザイン" と関係があるようです。
一般的によく行われるアーティストやデザイナーの講演会は、一般の人にとっては話を聞くだけなのでデザイナーとは若干の距離がありますが、展示品を直接商品にし、実物を触って手元に届けることで距離感を縮めて、その楽しさが生活の中に活かされる展示会にしたのが、この「Ideashop」なのだそうです。
デザイナーの作品をその場で購入(QRコード決済)することで、デザインが拡張されて人々の人生の一部となり、発展していく、というわけです。
オープニングフォーラム
オープニングフォーラムでは、4組の著名な日本のデザイナーによるトークイベントが開催されました。
開会の挨拶は、Shenzhen Fanにも多くの情報を提供してくださっている、深圳デザイン協会会長の宋博渊さん
続いて、各デザイナーによる、それぞれのデザインワークの経験と作品の説明を聞くことができました。
10 Inc(柿木原政広)
柿木原政広さんはアートディレクター/グラフィックデザイナーで、2007年に株式会社10 Inc を設立。 国内外の様々な賞を受賞。特に「Rocca」はNewYorkADC 賞SILVER、東京ADC賞、GOOD DESIGN賞など受賞多数。
ROCCA
“Rocca SPIELE” は、六角形の不思議なカードゲームです。
「SPIELE」は、ゲーム・競技・演奏といった意味をもつドイツ語だそうです。六角形の特徴を生かして三次元的な視覚を楽しめます。ゲームが進むにつれ、積み木のように重なって立体的な絵が出来上がり、楽しさが広がっていくとのこと。
柿木原さんは、北海道の交差点でこのRoccaを子供たちと並べて上から撮影した動画を見せてくださいましたが、すごく面白かったです!子供たちがカードの上をまたいで歩くことで登っているように見えたり、エッシャーのだまし絵のような錯覚を見ることができます。
トランプとしても使えるそうなので、人気が出そうです!
32bits
32bitsは、32個の木のかけら (bit) で構成される積み木ゲームです。旭川の職人によってひとつひとつ丁寧に作られたこの積み木は、通常の積み木とは違って様々な形を簡単に作ることができるとのこと。
32bitsについての詳しい説明は、以下の公式ページからどうぞ
DECCO
Decco は、日本語の「デコボコ」から命名されたボードゲームです。 通常のボードゲームは平面ですが、これはゲームが進むにつれてフィールドが立体に変わっていきます。カードなどのパーツはすべて木製で作られています。
DECCOについての詳しい説明は、以下の公式ページからどうぞ
wabisabi
工藤“ワビ”良平さんと、中西“サビ”一志さんによって結成されたデザインコンビ。日本グラフィックデザイナー協会理事、札幌アートディレクターズクラブ運営委員。作品はNewYorkADC AWARDS、TAIPEI INTERNATIONAL POSTER FESTIVAL銅賞、第1回東京ミッドタウンアワード準グランプリなど国内外で受賞歴多数。
今回、中西“サビ”一志さんは来れず、工藤“ワビ”良平さんが話をしてくださいました。
プロダクトを作るだけでなく、カリグラフィーを作るのが好きとのこと。オリジナルのフォントも紹介してくださいました。
AIR BONSAI
AIR BONSAIは、1960年に日本中で大ブームとなったプラスチック人形「ダッコちゃん」に触発されて、wabisabiにより作られたビニール人形です。「松の木」の盆栽をイメージして、日本文化の独自性を感じる外国人観光客から人気。色は黒と透明の2色。
展示されているAIR BONSAIは、圧巻です!
KIGI (キギ)
アートディレクター/クリエイティブディレクター植原亮輔さんと、アートディレクター/デザイナー渡邉良重さんによって設立されたデザイン会社。商品開発・商業デザイン・オリジナルブランドやショップの設立など、活動は多岐にわたる。
今回、KIGIからたくさんのプロダクトが展示されています!
酔独楽(YOIGOMA)
ここでは、Standing Sake Bar「酔独楽」を開店し、可杯(べくはい)という、置くことの出来ない独楽(コマ)の形をした盃を手に取って「酔いが回れば 独楽も回る」という合言葉とともに飲み干す、というもの。盃は職人の手による漆塗りです!
サイコロの目によって、独楽の大きさが変わります。
独楽を回している間、拍子木を鳴らします。
酒を注がれた独楽は置くことができないので、最後まで飲み干すしかありません!
KIKOF
KIKOF(キコフ)は、2014年にKIGIによって設立されたプロダクトブランドです。
日本最大の湖として、周囲の琵琶湖は古くから良質な粘土を作り出し、古琵琶湖層の土を使った焼き物は「信楽焼」と呼ばれて日本六古窯のひとつに数えられるとのこと。
「琵琶湖は日本の一番大きな器である」というコンセプトから、陶器の愛称を「器湖」と呼び、器湖(KIKO) + Free, Future, Fly, Full などの頭文字「F」を加えて「KIKOF」となったそうです。
このプロダクトは、紙を折って形作る八角系のデザインで、紙のように薄く、軽い陶器を作り上げました。
もちろん、信楽の職人による手作りです。
琵琶湖の湖面に映る4色(Morning blue, Moon white, Sunset pink, Moon night)の色をイメージしたとのこと。
そして今回、琵琶湖の北方に浮かぶ小さな島「竹生島」をイメージした限定カラー「chikubu islands green」も展示!
D-BROS at GINZA SIX
D-BROS at GINZA SIXは、DRAFT Inc によって設立されたプロダクトブランドです。グラフィックデザインと日本の職人の技術を生かしたプロダクトを発表しています。
FLOWER VASE
この花瓶、実はビニールでできています!詰め替えパックのような形をしているため、持ち運び自由で水を入れると膨らんで立体になります。
太陽の元で光が反射し、鮮やかな色合いが出ます。日本でロングセラーなんだそうです。
CUP & SAUCER
鏡面カップとソーサーの組み合わせで、様々な模様を生み出します。カップが湾曲しているので、ただの反射ではないパターン効果が楽しめます。
鏡面に少しでもムラがあったりすると綺麗に写りこまないため、職人の手による高い技術を必要とするのだそうです。
KAMON SENSU
職人の手によるオリジナル扇子。家紋が大きなアクセントになっています。
深センの気候はもう夏なので、扇子も人気が出そうですね!
個人的な感想として、今でもあまりアートやデザインには詳しくないのですが、
深センのトップデザイナー達が興味深い・紹介したいと感じてピックアップした日本のプロダクトをこのような場を通して教えてもらえることで、深セン・中国の方(特に若者)にとってどんなものが人気なのか、そういった感覚を養うことができるのは本当に良い機会だと感じます。
展示は5/5まで行われていますので、ぜひ足を運んでみてください!
開催期間・場所
開催期間:2019年4月21日 ー 5月5日
開催場所:深圳湾万象城前檐书店(3F)
出典
| 観念識集 Ideashop | 两个处女座的故事——一场观念遇见
| 観念識集 Ideashop | Rocca — 一副卡牌的传奇“人生”
| 観念識集 Ideashop | 柿木原政广 — 一个优秀设计师回归童心的跨界之作
| 観念識集 Ideashop | wabisabi — 爱音乐才是设计师的正经事!
| 観念識集 Ideashop | wabisabi — 一棵“后现代”的松树
| 観念識集 Ideashop | 醉独乐——把喜庆的欢乐注入酒杯!
| 観念識集 Ideashop | KIKOF — 餐桌上的琵琶湖
| 観念識集 Ideashop | D-BROS — 设计很有趣!