先日発表された、香港の巨大新都市建設計画。
その要となるのが福田・羅湖の南側に位置する新都市「新田科技城」(San Tin Technopole)。
完成すれば65万人の雇用を生み出し深センと共にイノベーションを生み出してゆく高度技術集積都市となります。
「北部都会区発展策略」
10月6日に発表された香港行政長官、林鄭月娥(キャリー・ラム)氏による2021年施政報告の「北部都会区発展策略」。概要については前回の記事をご覧ください。
今後の香港と深センに大きな影響を与える「北部都会区発展策略」には、主に以下の計画が含まれます。
1、香港の中心を香港島から北に移動させる開発計画「新田科技城」
2、香港と深センの新たな入出境管理施設(口岸)開設と「一地両検」化
3、香港北部の地下鉄(MTR)路線「北環線」「東鉄線」延長計画
4、香港と深センの経済圏である前海を結ぶ新しい越境鉄道「港深西部铁路」、周辺湿地帯など約2,000ヘクタールの地域の環境保全
香港北部に300平方キロメートルの都市圏を建設し、口岸周辺に新たな経済圏(深港口岸経済帯)を作り上げるという壮大なプロジェクト。今回特集する「新田科技城」は、以下の赤枠内の「港深緊密互動圈」と関わりがあり、深センの福田や羅湖と川を隔てたエリアに隣接します。
「新田科技城」概要
実は2017年に、皇崗口岸から河を隔てた87ヘクタールの港深創新科技園(Hong Kong-Shenzhen Innovation and Technology Park)プロジェクトが発足しましたが、ここだけでは川向こうにある深セン側の「深方科創園区」と呼ばれるエリアと比べると少し規模の面で小さく見えます。
今回の計画は、現在建設中の「港深創新科園」の周りを大きく呑み込んでゆくものとなります。以下の地図のオレンジの点線で描かれているのが「新田科技城」(San Tin Technopole)エリア。より大規模で効果的なテクノロジー産業の集積効果をもたらすため、合計約150ヘクタールのイノベーションおよびテクノロジー用途の土地が追加で提供されます。
また、落馬洲を新皇崗口岸に移転したことで空いた土地と、香港側に隣接するいくつかの養魚池や農村部の土地を有効活用することにもなります。
2022年完成予定の新皇崗口岸については以下の記事を参照してください。
この北方都市全体の開発が完了すれば、元朗区や北区にある39万戸の住宅と合わせて、90万5,000~92万6,000戸の住宅が確保でき、約250万人の人口に対応できるようになるのだそう。
雇用も現在の11万6,000人から約65万人へと大幅に増加し、その中にはイノベーションやテクノロジーに関連する15万人の雇用も含まれます。
これにより、深センと香港は口岸を挟みながらも共に発展してゆく高度技術集積都市となり、IT人材のためのコミュニティを形成してゆきます。
しかし、気になるのは環境保全。以下の写真のように河を隔てた深セン側と比べると、香港側には養魚池、湿地帯、森林、また歴史ある村々も存在します。
当計画は、上記の図にも記されているように香港地下鉄(MTR)を口岸付近まで延長するものですが、自然豊かな環境を保護しつつどのように開発を進めていくのかが注目されます。
次回は、当計画により新たに開設される香港と深セン入出境管理施設(口岸)と、現在は深セン側と香港側で隔たりの起きている口岸の一体化「一地両検」化について紹介します。
ExpatHub:Hong Kong to build huge new city on border with Shenzhen
Shenzhen Daily:HK unveils metropolis plan, eyes deeper SZ-HK integration
深圳特区报:香港提出港深融合大动作!拟建300平方公里北部都会区
深圳卫视深视新闻:林郑月娥释放重要信号:从“香港所长”到“港深所长”