![テンセントの未来都市 “未来城市/NET CITY” 前海エリアに建設予定!完成は約7年後](https://i0.wp.com/www.shenzhen-fan.com/wp-content/uploads/2020/06/e6920e511a4e6ce90019b6df3118eab2.jpg?fit=1080%2C724&ssl=1)
2020年6月16日に、CNNを始め各メディアから深センを代表するIT企業テンセントの設計する未来都市「未来城市/NET CITY」の計画が報道されました。
2019年にテンセントは深センの島を1,300億円で購入しましたが、都市設計を主導する米nbbj社はAmazonやテンセント本社設計も手掛けた有名企業。
自然と共存し自動運転車を走らせるスマートシティの詳細情報をお伝えします。
Source:
nbbj.com: Tencent Builds City Focused on People, Not Cars
Shenzhen Daily: Tencent to build ‘city of the future’
EyeShenzhen: Tencent to build ‘city of the future’ 腾讯携手NBBJ,构想打造“未来城市”
包包说经济:大湾区看前海 | 腾讯建立NET CITY,迈入科技强林
WHITEHOLE: 「テンセント」が1300億円で“島”を取得!
2019年11月29日に1,300億円で島を取得
以前に、テンセントが島を購入した!というニュースが流れましたが、今回の発表はその島をどのように開発するかの計画内容です。
このニュースは、深セン経済情報を発信しているメディアWHITEHOLEが日本語で分かりやすく報じていましたが
簡単にまとめると、テンセントは2019年11月29日に85.2億元(約1300億円)で前海エリアにある大铲湾/大鏟湾(A002-0076)の土地(大鏟湾国際服務島+大鏟湾国際交流島)を落札。
用地面積は80.9万平米、建物面積200万平米(=2平方キロメートル)。使用期限は30年とのこと。
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これらの島は「CBD+TBD」(中央商務区+科技イノベーション服務区)とも呼ばれているそうで、国家戦略ともなっている深セン市の“インターネットプラス”未来科技城プロジェクトの一環として開発が進められていくようです。
ちなみに、同時期にスマートフォンメーカーの「Vivo(維沃移動通信(深圳)有限公司)」も宝安区新安街道の商業用地を12.9億元(約200億円)で落札したとのこと。2018年11月27日には、同じスマートフォンメーカー「OPPO」も深圳湾超級総部基地を35.89億元(約550億円)で落札しています。
世界で2番目に小さい公国モナコ(2.02平方キロメートル)と面積はほぼ同じ。
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Shenzhen Dailyではマンハッタンのミッドタウンと同サイズとも述べています。(ミッドタウン全体の面積は5.84平方キロメートルなので、ミッドタウン内の主要エリアと比較したのだと思われます)
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勢いのあるIT企業が次々と深センの土地を買い、開発を進めているのは注目ですね。そしてテンセントは面積も価格も規模が桁違い。
シアトルの有名設計事務所nbbj社が担当
都市設計を主導する米nbbj社はシアトルのAmazon本社を設計した超有名設計事務所。他にもアリババグループのAlipayで有名な杭州のアントフィナンシャル本社も設計しています。
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南山区のテンセント本社もnbbj社によるもの。
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他にも数多くの有名企業本社の設計や、上海の有名観光エリア「外灘」などの公共スペースもデザインしています。すさまじい実績を持つ企業なので期待値が高まります!
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NET CITY設計方針
この都市は川の河口に突き出た形の埋め立て地に作られ、テンセントのための住居やオフィスを建造します。ここに約8万人が生活する予定です。
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島には店舗・学校・公共施設・娯楽施設・公園・遊歩道が設けられ、周辺は橋やフェリー・地下鉄と接続されることでたくさんの人が行き来できるようになります。
「人間に焦点を合わせたエコシステム」「イノベーションが本当に繁栄できる場所」を目指すのだそう。
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「自動車を使わない都市」も目指しているそうですが、完全に車を排除するのは難しいため一部のエリアには自動車が入ることはできますが、車のアクセスは制限され歩行者が優先されます。
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“绿色走廊”(緑の回廊)と呼ばれる、バス・自転車・自動運転車のために特別に設計されたエリアがNET CITYの中心になります。
人間味のある感覚や自然な体験を生み出すために、1階から30階に及ぶさまざまなサイズと高さのテラス状の建物を設計し、緑の通路とつながります。
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環境にも配慮しています。廃水を回収して再利用するシステムやソーラーパネルが設置される予定。
近年注目されているサステナブルデザイン(Design for Sustainability)ですね。
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大湾区の三角州に面している前海は“水城”とも呼ばれていますが、将来は海面上昇が予測されます。そのため建物が気候変動により強い耐性を持つ設計になるとのこと。
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例えば、洪水や環境性能を追跡するセンサーなどを取り入れ、海岸線にはマングローブの木を植え、洪水対策も行います。水を吸収し効率よく排出する“海绵城市”(スポンジシティー)としても期待されています。
完成は7年後
このNET CITY、いつ完成するのでしょうか?
報道によると完成までに約7年かかり、建設は今年後半に開始される予定です。
つまり、2027年もしくは2028年ころ完成ということになります。
2028年というとまだ先の話に思えますが、今後5年で深センは新たな高速道路・鉄道・地下鉄などが次々と開通してゆくことになるため、良いタイミングになりそうです。
一例を挙げると、大湾区の三角州対岸にある中山エリアをつなぐハイテク橋「深中通道」は2024年開通。
また、2025〜2028年の間に東莞と深センの各地下鉄が接続されていきます。
2024年には広州から宝安国際空港をつなぐ高禄鉄道「穗莞深城际铁路」が前海まで延長され、その後は深圳湾ー福田汽车ー福田口岸ー皇崗口岸にも延びていきます。
このように前海周辺のインフラが2028年までに整った後で、満を持してNET CITYが完成となるのです。
深センの各エリアでもよく起きていることですが、まだ地下鉄の開通が数年後なのにアクセスが不便な状態のままモールやマンションが先に建ってしまったがために人が集まらず苦労する、ということは起きなさそうですね。
今はまだ道半ばですが、2028年には自動運転や新たな技術に対する整備も進んでいると思われますし、期待は高まるばかり。
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企業が(都市の中に)都市を設計するという構想はテンセントが初めてではなく、Googleの関連会社やトヨタも計画に着手していました。
Googleの親会社であるアルファベット系列がトロントで計画していたスマートシティは残念ながら断念されてしまったようですが、トヨタのスマートシティ「Woven City」はテンセントの「NET CITY」と同じように自然と共存した実験的な都市として計画されています。
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世界をリードする企業が官民一体となって作り上げるスマートシティ。今後の展開が楽しみです。